夏休みの宿題といえば自由研究と読書感想文。
前回の「僕らの7日間戦争」の感想文 と、「西の魔女が死んだ」の感想文
と 「オオカミ王ロボ」の感想文 につづいて、「おじいちゃん戦争のことを教えて」の感想文を紹介しますね。
中学校、高校の生徒諸君対象です。
今まで書いたとおり、感想文は感想を書くものではなく、自分の意見を書くものです。だからどんなことを書いても良いんですよ。
ハナさんは高校生くらいになって、ようやく気づきましたが、これを読んだ皆さんは、もう大丈夫ですね。
それともう一つ。作文を書くことで、書いた文章のような人になっていく感じがします。丁寧な文章を書けば丁寧な人間に、乱暴な文章を書けば乱暴な人に・・・気のせいかもしれませんが、そう感じました。
ですから、どんな感想文でも良いのですが、他人から見ても、自分で見ても「良いお手本」となるような文章を書きましょうね。
読んだ本は「おじいちゃん戦争のことを教えて」
さて、先ほど書いたように、読んだ本は「おじいちゃん戦争のことを教えて」です。
ある日、従軍経験のあるアサヒビールの名誉会長のもとに、ニューヨークのハイスクールで勉強している孫娘から手紙が届きました。
内容は、ハイスクールでの近現代史の授業で、歴史教師 Ms.Wood から「第2次世界対戦を経験した人に話を聞こう。」と課題を与えられたので、質問と依頼文を送りますね、というものでした。
筆者の中條孝徳さんは、
かつて敵だった国の戦争体験と考えを聞こうという、そういう授業を確かに行っているのである。
中略
あの時代に体験した事実がそのままに語り伝えられているだろうか。
否である。
中略
これがアメリカの学校の課題であることはひとまず置いて、私は孫娘一人に向かい合う気持ちで、あの戦争で体験したことを、自分史を刻む気持ちで語ろうと思った。いろいろな禁忌や思惑にとらわれることなく、ありのままに。
中略
それぞれの見方・考え方を含めたありのままを投げ出しあい、批判しあうところに普遍性が生まれ、その上に確かな近現代史が構築されていくのだ。私は質問の一つひとつを確かめながら、孫娘一人に接する気持ちで、ある種の緊迫感に包まれながらペンをとった。
のです。
このブログを見に来られた方は、もしかすると、
「しめしめ、コピペすれば宿題は終わりだ、イッヒッヒ!!」
と考えている方かも知れません。
あくまでもサンプルだから、参考にして自分の言葉で書くんだよ。
それともう一つ。感想文はコピペしてもよいですが、この本は、若い時に一度読んでおくと良いと思いますよ。
もしかすると、学校の図書館には置いてないかもしれません。
サンプル:感想文「おじいちゃん戦争のことを教えて」
私がこの本を読もうと思ったのは、戦争のことを知りたいと思ったからです。
読んでみて、日本が、なぜ第2次世界対戦をしたのか、少しわかった気がしました。
明治維新が起きたのも、白人国家から日本が植民地にならないようにしようとした大きなうねりの中で起きたものだし、明治維新後にも、世界中で、有色人種は奴隷として白人に搾取されていました。こうした中で、日露戦争に勝った日本は白人国家から目の敵にされていました。
黄禍論です。日本が世界(白人の世界制覇)を脅かすというものです。
当時、アフリカや東南アジアの国々の多くは白人国家の植民地になっていました。
アメリカは、有色人種のインディアンを皆殺しにして、西へ西へと国を広げ、太平洋に到着しました。
そして捕鯨船の寄港地を得る名目で、軍艦を派遣して日本に開国を迫り、日本に不平等条約を押し付けました。その後、日本では明治維新が起きて、日本は植民地になる危険を避けることが出来たのです。
日本が明治維新を迎えた頃、白人国家から日本は狙われていたのです。
アメリカは、日露戦争後に、独立国家であったハワイ王朝を併合し、フィリピンを植民地にしました。
太平洋をすべて手中に収めようとするアメリカにとって、日本は邪魔な存在でした。
そして盧溝橋事件から、満州事変、日中戦争が始まります。
盧溝橋事件は、中国共産党が国民党のふりをして日本軍に攻撃を仕掛けて戦争を始めたという説が有力です。当時の中国国内は中国共産党と国民党が内戦をしていました。そして国民党に追われて敗走していた中国共産党は盧溝橋事件を契機に国民党と手を結び、日中戦争が始まったのです。
さらに、アメリカを始めとする白人国家が中心となって、日本に対して経済制裁をしました。ABCD包囲網です。
経済制裁で困窮する日本に突きつけられたのが、オレンジノートです。
オレンジノートは、日本が中国や、東南アジアから撤退すれば、経済制裁解除の交渉ができると言う内容でした。解除するわけでなく、解除の相談にのるよ、ということです。筆者は、これを疑問視しています。
交渉とは、お互いの要求の妥協点を見出すことであって、日本が丸裸になって、初めて交渉したのでは、相手の言いなりにしかなりえないことを意味します。これを否定するには戦うしかなくなってしまうのです。
アメリカは戦争したかったのでしょう。そして、日本はその手に乗ってしまったのです。
ですから、当時の社会情勢から考えれば、日本が攻めていくか、白人国家から攻められて植民地になるか、2つに一つしかなかったのです。
戦争は、始めるより、終わるほうが難しいと言われています。日本も最初の勝っているうちに講話に持ち込めればよかったでしょうが、アメリカは日本を破壊しなければ講話に応じる気はなかったのでしょう。
「カルタゴの平和」です。
ローマ(アメリカ)が平和を享受するにはカルタゴ(日本)を破壊し尽くさねばならないと考えたのです。
このような国家と対等に話しあうのは、当時の状況から考えて困難だったことでしょう。
そして、アメリカは日本各地の大都市への空襲と2度にわたる原爆の投下で、非戦闘員の日本人を殺戮し、国土を焦土にしました。
敗戦後は、GHQによる洗脳工作が始まります。WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)です。
GHQ職員の中には、アメリカ本土でレッドパージで左遷されて日本に飛ばされた共産主義者が多かったそうです。
GHQがやった様々な活動も「カルタゴの平和」の一貫です。日本をアメリカに対抗できないようにするため、精神的な破壊を目指したのです。
そして極東軍事裁判という、裁判の名に借りた戦勝国の私刑(リンチ)が始まります。この裁判では「平和に対する罪」という事後立法で多くの軍人が裁かれ死刑になりました。後出しジャンケンで死刑になったようなものです。
筆者も軍人であったことから、終戦直後は公職追放で職につけなかったそうです。
アメリカの文化や制度を礼賛する者はいろいろな分野で社会的に高い地位につけられ、色々な分野にアメリカの影響が出てきました。
そして、日本人であることが悪いような、愛国心を語るのがいけないような、そんなおかしな雰囲気を持たせるような社会になってしまったのです。
しかし、国民として自国を誇りに思う事が、国際標準です。
外国へ行って日本人が恥をかくのは、国旗に対する礼節が無いとか、国家が歌えないことだそうです。愛国心のない人間は、海外では信用されません。
これからの日本は国際社会で生きていかなくてはいけません。そのためには、私たち若い世代が、日本の近現代史の真実を見つめ、日本人であることに誇りを持ち、国旗を掲げ、国歌を喜んで歌うようにならなくてはいけないと、この本を読んで強く思いました。
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解説
以上がサンプルです。サンプルだけではわからないから説明しますね。
感想文のテーマ
歴史を日本人の立場から見ることです。
ポイント
戦争のことが知りたい→戦争はどうして起きたか→戦争は避けられなかったのか
という流れで、説明します。
白人と、有色人種の歴史から触れると良いと思います。
アメリカは、ついこの間まで、有色人種を動物と扱っていた国です。黒人の生活する小屋には鍵が外についていました。その鍵は白人が管理していたのです。
奴隷制に反対したリンカーンもインディアンの絶滅には積極的でした。奴隷制は経済的側面と南部への経済制裁として反対しただけです。
白人の言う人権は、白人の人権です。有色人種は動物だから権利がないというのが、基本的な考えです。
インドネシアではオランダ兵が退却した後も要塞にインドネシア人が残って最後まで戦っていたので勇敢だと思っていたら、インドネシア兵の足には鎖がつけられていて逃げることも投降することも出来なかったそうです。奴隷兵だったんですね。
といったことを前提に、日本とアメリカの戦争を見るのです。
それと、植民地という言葉について。
日本が朝鮮や台湾を植民地にした言いますが、白人国家の植民地経営とはかなり違います。同じ言葉で訳するのがおかしいくらいです。
白人国家の植民地とは、収奪することです。
明治になってから、ベルギー国王はコンゴを植民地にしました。その結果、コンゴの人口は6分の1に減ってしまったそうです。
日本の植民地は、産業が発展し、教育が進み、人口が増加しました。
以前も少し書きましたが、戦争は外交の手段で、外交の一態様にしか過ぎません。
平和は、状態を指します。
国内で革命や暴動などの犯罪が起きても平和な状態は破壊されます。戦争が起きて国内で戦闘が起これば平和な状態は無くなります。
戦争が良くないのは、先の大戦の例を見て分かるとおり、局地戦でなく総力戦になってしまうからです。自国に有利なように戦争を終わらせるには、相手の国を壊滅するかなく、負ければ壊滅させられてしまうからです。
だから、無駄なことはやめて話し合いで解決しましょうね、ということです。
ただし、大事なことは話し合いでは解決しないものです。この前のTPPも妥結しませんでしたよね。
そして、ものの見方。
日本国民として、日本人として、日本人の立場から見た歴史を書くのです。立場が変われば同じ事柄でも見方が変わります。
アメリカは原爆投下を正義だと言っています。日本国民なら絶対に受け入れられない主張です。
日本人として、当然の主張をする事が必要です。
最後に国際化
国際化の大前提は、自分が何者であるかということ。若い皆さんは、外国に行って、自分が日本人であることを強く意識したほうが良いと思います。
書き方
書き方としては、
- 読んだきっかけ(戦争のことが知りたい。タイトルがズバリだった。)
- 戦争はどうして起きたか
- 戦争は避けられなかったのか
- それに対する賛成と反対
- 自分はこれからどうしていくか(日本人としてどうあるべきか)
を書けば良いと思います。
サンプルはサンプルです。皆さんは自分の言葉で書いてくださいね。
タイトル
タイトルのつけ方も大事ですね。最近は、「〇〇を読んで」という付け方はダメだという地域もあるみたいですね。感想文ではなく、自分の意見を書きなさいということを強く意識した傾向ですね。
ハナさんが提案するのは、
「なぜ日本は戦争をしたか」
「日本は戦争を避けられなかったのか」
「日本の戦争と白人支配からの脱却」
あたりでどうでしょうか。
あなたが感想文を書いて、そのテーマをズバリ表す言葉を書けばよいのです。
まとめ
今回のサンプルは、今までのように子どもに作ってあげたものでない、「書き下ろし」なので、ちょっと大人っぽいですね。
感想文をUPしてから、このブログの検索が増えました。そのなかで「戦争」というキーワードが多かったので、きっと、戦争の感想文を書く宿題が多いのでしょうね。
ですので、需要があるかもしれないと思って公開してみました。
少し極論に走っている部分もあるかもしれません。あくまでもこれはサンプル。
皆さんの言葉に置き換えて下さい。
感想文はどんなことを書いても良いんだ、というサンプルですからね。